硯の洗い方
昔から愛硯家の間では、「顔を洗うより硯を洗え」と言われているそうです。
- 使い終わった硯は、上面、下面、側面を硯の材質より柔らかいもので丁寧に水洗いします。
- 硯に水をかけながら指先で硯の表面を擦り洗う方法もありますが、硯の表面はザラザラしており指先に負担がかかりますので注意してください。
- 岡(墨を磨る部分)と硯縁(岡で磨った墨の流出防止の為の縁)との凹部分は、墨液が残りやすいので、しっかり洗い流してください。
- 冬季であっても水洗いします。硯の材質を考慮しお湯は使いません。
- 洗面台等が汚れが気になる方へは、バケツの中で硯を水洗いすることをお勧めします。バケツの中の汚水は大きめの漏斗を応用し洗面台等で流すことで、洗面台等の汚れは大きく軽減できます。
硯を洗っていない為、硯上面に墨液がへばり付き、固まっている墨を洗い下ろす方法
- 硯を水の中に入れ、墨のへばり付きを緩める。
- 次に、石材よりも柔らかい竹べら等でへばり付いている墨液の塊を取り除きます。
- 次に、水に流しながら布等で綺麗に洗いこみます。
- ひどくへばりついた墨の硯を洗い落とさなければならない事に遭遇した事があります。対処として岡部分に砥石を掛け対応しました。
墨の下りが悪くなった時の対応
- 墨の下りが悪くなるのは墨を磨る面の鋒鋩に目詰まりが生じた事が主な原因です。砥石を掛ける事で解決できます。硯用の砥石は、書道専門店で購入できます。
- 私の経験では、愛情をこめて、水をかけながら丁寧に砥石をかけました。失敗した事はありません。
- 購入時、お店の方に砥石のかけ方を聞いてみるも一つの手段になると思います。
※ 硯の表面に墨汁が重なるようにへばり付いているような硯に、また、岡部分的に傷を付けてしまった時も砥石掛けは有効です。
※ 「素人は、岡(墨を磨る部分)を砥石で研がないほうが良い。」と、慎む旨もありますので注意は必要です。
砥石のかけ方(体験談)
- 硯に水をかけながら少しづつ岡(墨を磨る部分)に丁寧に砥石をかけます。
- 岡(墨を磨る部分)の地肌が現れます。
- 正常な硯の岡(墨を磨る部分)は、指先で撫でるとザラザラ感があります。このザラザラは墨を下すためのもので鋒鋩と言います。この鋒鋩の感触が均一な状態になるまで、水を流しながら砥石をかけます。
- 岡(墨を磨る部分)が均一に綺麗になります。
硯の保管法
墨を磨る部分(岡)や上面に縁部分などは傷付き易いので特に注意を払い保管しなければなりません。厚めの布等で包むか、硯箱に保管するのが良いです。丁寧に保管しましょう。
- 保管する前には丁寧に水洗いをします。しっかりと水洗いしたつもりでも硯の表面に墨が残ってしまう事も少なくありません。残った墨は保管中に硯の表面に付着します。
- この状態を繰り返すと鋒鋩(墨を磨り落すザラザラした部分)は目詰まりします。
- 鋒鋩に目詰まりが生ずると、磨墨時の墨のおりが悪くなります。
- 硯の使用した後は水の中に入れておけば安心です。
- 水は毎日交換して下さい。交換を怠ると硯がヌルヌル状態になります。
- 長い時間、硯を使用しない場合は水の中での保管は不要です。
- 石材と水は相性が良いようです。硯を水から取り出した時は潤った硯と出会えます。
- 硯をきれいにしておくことは、硯に対しての礼儀と思っています。