kohoちゃん書道

落款

落款の基本的な知識

落款とは、落成款識を省略して使われといる言葉で、書作品を完成した時に書く「署名」と「押印」のことです。

※ 近年の字は、横書きを目にすることが多くなりましたが、ここでは縦書きを基準として記述します。

雅号

  1. 雅号は師匠から授かるのが多いようです。私も、師匠が「見歩」でしたので「弘歩」の雅号を授かり使用しています。
  2. 師匠の有無にかかわらず、自分自身で、好きな雅号は持てるようです。私の周囲にも、自分自身で好きな字を組み合わせて雅号を使っている方はいます。

  1. 落款印は、落款だけに用いられる姓名印と雅号印をいいます。
  2. 引首印は作為品の風雅を高めるための印で、作品の右上に押印します。
  3. 引首印は関防印(冠冒印)とも言われます。必ず押さなければならない印ではありません。
  4. 引首印は字を書く前に押印するという説がありますが、一般的には字を書き終えてから押印すべき位置を定め押印している例が多いと思います。
  5. この他に、作品の右下に押す押脚印等があります。

署名

  1. 書作品の署名は、雅号、又は名前を書きます。名字は書かないのが一般的のようです。
  2. 署名には、名前や雅号を書きます。雅号が「弘歩」の場合は、自作の文を主文にする時は「弘歩」、他者の文を書いた時で、漢字作品の場合は「弘歩書」とし, かな作品の場合は、「弘歩かく」とするのが一般的のようです。
  3. 作品には、署名だけで押印のないもの、署名がなく姓名印や雅号印だけの場合もあります。
  4. 署名する時の書体は、楷書を書いた時は、行書や草書で書きます。草書作品やかな作品に楷書で署名することは基本的にありません。草書で署名するのが良いです。
  5. 署名だけで、書を書いた方の技量が判断できると聞いたことがあります。実際、署名には気を配ります。

落款

落款は、これから書の書き始めに押印する引首印(関防印とも言います。)を押印し、主文を書き署名します。その下方に姓名印、雅号印の順番で押印します。また、引首印や姓名印を省略し、雅号印のみをお押印する場合もあります。

落款の心構え

  1. 作品を書いた時は必ず署名します。書き終わりが署名です。
  2. 作品の出来具合に関係なく押印する事を勧めます。押印するのも鍛錬の大切な鍛錬です。
  3. 押印する時は、印が曲がらないように定規を使うのも良いでしょう。押印時に使う定規を、「印矩いんく」と言います。
  4. 押印する時の下敷きを、「印じょく」と言います。「印じょく」がない時は、書道月刊誌等も下敷きとして代用できます。

署名の書き方

名前(署名)の書き方

          

※ ここでは「署名」を「名前」で表します。

名前は作品の最後の字を書き終えたままの穂先で書きます。筆を変えたり、改めて墨付けはしません。

一般的な書き方

  1. 名前のみ(例:弘 書)
  2. 雅号+書(例:弘 歩 書)
  3. 内容+号:(例:杜甫句 弘歩 書)
  4. 時+号:(例1:癸卯 弘歩 書)・(例2:令和癸卯 夏日 弘歩 書)
  5. 時+内容+雅号:(例:令和癸卯 夏日 杜甫句 弘歩 書)
          

内容の書き方

  1. ○○が作った詩は、「○○詩」
  2. ○○が作った句は、「○○句」

この他の書き方

  1. 臨書の場合は:号+臨
  2. 自作の詩歌の場合は:号のみ・号+作(題・草・記)等
  3. 人に作品を送る場合は:「為書き」
  4. 写経等の場合は:号+謹書(敬書・拝書)等
  5.             
  6. 号の下に付加する語:山人・野人・散人・翁・女史等

干支(かんし)の参考資料

          

干支(かんし)

十干(じっかん):十干:五行(ごぎょう)の木・火・土・金・水を兄(え)と弟(と)に分けたもの。

          
  1. 木の兄:甲(きのえ)
  2. 木の弟:乙(きのと)
  3. 火の兄:丙(ひのえ)
  4. 火の弟:丁(ひのと)
  5. 土の兄:戊(つちのえ)
  6. 土の弟:己(つちのと)
  7. 金の兄:庚(かのえ)
  8. 金の弟:辛(かのと)
  9. 水の兄:壬(みずのえ)
  10. 水の弟:癸(みずのと)

干(かん)は幹、また、母の意がある。十干は十母ともいう。

十二支(じゅうにし)

十二支:子(ね)・丑(うし)・寅(とら)・卯(う)・辰(たつ)・巳(み)・午(うま)・未(ひつじ)・申(さる)・酉(とり)・戌(いぬ)・亥(い)で、時日・方向などを示すのに用いられている。例えば、子の刻は深夜の12時であり、午の刻は昼の12時で正午と言いいます。午の刻の前を午前、午の刻の後を午後と言います。子の方位は北であり、東の方位は卯、南の方位は午、西の方位は酉です。

支(し)は枝、また、子の意がある。

干支と十二支と合わせて干支(えと)といい十母と十二子の意は同もので、年や日の順序を示すものに用いられている。

落款に使える今後の干支

  • 令和5年(2023):水の弟から、癸(みずのと)+卯(う)
  • 令和6年(2034):木の兄から、甲(きのえ)+辰(たつ)
  • 令和7年(2025):木の弟から、乙(きのと)+巳(み)
  • 令和8年(2026):火の兄から、丙(ひのえ)+午(うま)
  • 令和9年(2027):火の弟から、丁(ひのと)+未(ひつじ)
  • 令和10年(2028):土の兄から、戊(つちのえ)+申(さる)
  • 令和11年(2029):土の弟から、己(つちのと)+酉(とり)
  • 令和12年(2030):金の兄から、庚(かのえ)+戌(いぬ)
  • 令和13年(2031):金の弟から、辛(かのと)+亥(い)
  • 令和14年(2032):水の兄から、壬(みずのえ)+子(ね)
  • 令和15年(2033):水の弟から、癸(みずのと)+丑(うし)
  • 令和16年(2034):木の兄から、甲(きのえ)+寅(とら)