筆の使い方
筆の持ち方
実指虚掌・懸腕直筆
筆管を、指を鉤形に曲げで持ち、手のひらに卵が入るような空間を作って筆を持つ事を言います。
- 単鉤法は、主に親指、人差し指で筆を持ちます。
- 双鉤法は、主に親指、人差し指、中指で筆を持ちます。
筆を持った時の姿勢
- 懸腕法は、肘を机から離れ、空中に浮いている状態で運筆する方法です。
- 提腕法は、右肘を机上に置くか、右手首を紙上に置き運筆する方法です。(小さい字を書くのに向いています。)
- 枕腕法は、左手の掌を紙の上に置き、その左手を掌を右手を枕として運筆する方法です。(小さい字を書くのに向いています。)
筆の持ち方の実例
筆の運び方の呼称
運筆の状態を分けた呼称
参考資料:主に、書法入門(二玄社) ・ 書学体系 研究篇2 書道用語辞典(同胞出版社)
画の書き始めの呼称
落筆・起筆・始筆がありますが同じ意味です。当ページでは、始筆を使います。
画の書き終わりの呼称
収筆・終筆・止筆がありますが同じ意味です。当ページでは、収筆を使います。
書くの書き始めと、書き終わりの中間部分の呼称
走筆・送筆がありますが同じ意味です。当ページでは、走筆を使います。
※ 送筆: 始筆から終筆までの過程を言う。(書学体系 研究篇2 書道用語辞典から)
点画に変化を与える筆使いの呼称
露鋒と蔵鋒
- 露鋒:運筆の際、穂先をあらわに露出させて書く方法
- 蔵鋒:運筆の際、穂先を包蔵させて書く方法(露鋒の対語)
直筆と側筆
- 直筆:軸(筆管)を真直に持って書く事であり、筆鋒は筆画の中を通る為線は丸味を帯びて厚みがある。
- 側筆:軸(筆管)をやや斜めに倒して書く事であり、筆鋒は、常に画の一方に偏して通るため、表裏ができる。(直筆の対語)
円筆と方筆
- 円筆:直筆にすると、鋒先が点画の中に入り、点画は丸味を帯び、温雅な表現になる。
- 方筆:筆の表裏が点画にはっきりと表れ、角ばった感じを与える筆使いを言い、側筆にすると鋒先があらわれ、鋭く力強い感じになる。
※ 数種の呼称がありますが、これらの働きが部分部分に組み込まれ、一画や一字が出来ていると思って誤りではないと思います。
筆の腰づくり
「筆の腰づくり」を一口にまとめると、「筆鋒の弾性の活用」と言えます。
筆の腰づくりが出来ていない時は
「筆がふにゃっと曲がったまま戻らないので払いやハネがとても書きづらいです。」の状況かと思います。
筆が「フニャッ」とならなくする方法(ここでは、koho(私)の体得した事を示します。)
- 筆の水洗いを十分に行い、筆毛一本一本がお互いに滑り合える状態を維持します。
- 筆への墨付けは十分に行います。
- 筆の腰づくりは、走筆時、1㎝程度送筆したら、送筆を止め、寝てしまった筆毛を立て直し、再度1㎝程度送筆を繰り返します。「ズッ、ズッ、ズッ」の感じです。
- 慣れてくると、この動きは、注視しないと第三者の目には気が付かないと思います。
- 筆への墨の量が無くなってしまって、「穂」がバラバラになってしまった状態での腰づくりは出来ません。
同じ筆でも、筆の使い方次第で現れる線に変化が出る!
※ 私の経験を示します。
線の分類
- 太い線:太い筆を使えば太い線が出来ます。細い筆でも筆をつぶして書けばつぶしただけの太さが出ます。
- 細い線:細い筆を使えば細い線が出来ます。太筆でも、穂先を上手に使えば細くなります。
- 強い線:筆の腰を活かし、筆の芯を活かして書いた線は強いです。太さはあまり関係ないと思います。例えば、細筆で書いた和歌の線は強いです。
- 弱い線:筆の腰砕け、筆の腹部分で引きずって書いた線は弱いです。太さはあまり関係ないと思います。弱い線は書いた紙の裏を見ればわかります。カスレが多いはずです。
墨の濃さ、紙の種類にもよる!
- 墨の濃淡:濃墨の線は力強く見えます。淡墨その反対です。ただし。淡墨の魅力もいいものです。
- 滲み多い紙:書くのが大変です。送筆時に迷いがあると余計な滲み部分が出来ますのでサッサ書きますが、わざと滲みを作り線の形に変化と味わいを作る事もあります。
- 滲みの少ない紙:仮名や細字を書く時は滲みの少ない紙を利用する事が多いと思います。滲みが少ないだけに紙面と筆との接触した部分だけが線として現れます。きれいに見えますがが、線の深さに乏しいと思います。(線の深さは見た目の感覚です。紙の厚さ以上の深さはあり得ません。)
kohoの筆使いの実際
youtube投稿動画で筆使いを公開しています。
筆使いの実例です。